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志音手控え——野村美術館館蔵名品
¥2,750
志音さんの眼と手を通して、名品を紐解き出会う喜びを知る現代の名物記 ——千 宗屋[武者小路千家家元後嗣] 著者:田端志音 頁数:240ページ(フルカラー) 仕様:110×173×15ミリ(新書変形)・ソフトカバー 乾山の写しなどで知られる陶芸家の田端志音は、本歌である原作品を、実際に手に取りながら丹念に読み込み、手控え帖に写し取っていくことで、その作品のエッセンスを自分のものにしていきます。2018年からは、茶道具や能面等の貴重なコレクションを誇る野村美術館の所蔵作品の数々を閲覧し描き留めてきました。箱書きなどの付属の品々とともに詳細に描かれた茶碗や茶入れなどの名品と、そこに書き添えられた覚え書きや考察。田端の眼と手を通して描かれた手控え帖のページをめくることで、読者は豊かな陶芸の世界を堪能できるでしょう。 「婦人画報デジタル」での好評連載「茶の湯草紙」より、選りすぐりの37作を紹介します。 田端志音 1947年北九州生まれ。1985年より5年間、大阪の茶道具商、谷松屋 戸田商店に勤める。そこで数々の名品を実見する機会に恵まれ、その体験を通して、1991年、作陶の道に入る。江戸時代中期の京都で活躍した尾形乾山を師と仰ぎ、乾山の写しを追求しながら作陶を学ぶ。京都・大徳寺 如意庵の立花大亀老師、吉兆の湯木貞一翁、谷松屋 戸田商店の戸田鍾之助氏、陶芸家の杉本貞光氏から指導を受け、お茶の世界、陶芸の世界を学んだ。その後、作家活動を開始し、2004年には、軽井沢に窖窯 「志音窯」を築く。「柏屋」「吉兆」「子孫」「未在」などの日本料理店に器を納めている。
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杉本博司 本歌取り 東下り
¥3,850
私のアーティストとしての仕事とは、人が人となった頃の記憶を辿ること、そしてその記憶をさまざまな表現方法を駆使して、現代の人々にも見えるようにすることではないかと最近思うようになった。 ——杉本博司 著者:杉本博司 頁数:226ページ(カラー:114ページ) 仕様:A4変形・ソフトカバー・観音有 前著『本歌取り―日本文化の伝統と飛翔―』から一年、杉本博司は数多くの新作を制作し、本歌取りについてもさらなる拡大解釈を進めていきました。そして人類の歴史そのものが本歌取りの繰り返しであると捉えた杉本は、本書でも6つの章それぞれのテーマから、その歴史を遡行しながら考察を深めていきます。 序章 人類の曙/第一章 書における本歌取り/第二章 芸能における本歌取り/第三章 写真における本歌取り/第四章 富士山における本歌取り/第五章 記憶喪失的本歌の無意識的集合による本歌取り/第六章 海景から宙景へ 観音で掲載された杉本新作《富士山図屏風》や貴重な法師物語絵紙の全図掲載など、100点以上の新作や蒐集品とともに語られる、ユーモアあふれる杉本節も健在です。 杉本博司 1948年東京生まれ。1974年よりNY在住。活動分野は、写真、彫刻、インスタレーション、演劇、建築、造園、執筆、料理と多岐にわたる。2008年建築設計事務所「新素材研究所」、2009年公益財団法人小田原文化財団を設立。日本の伝統芸能振興に努め、国内を始めパリ・オペラ座、グッゲンハイム美術館(NY)、リンカーンセンター(NY)、エスパニョール劇場(マドリード)など世界各地で公演を手掛ける。1988年毎日芸術賞、2001年ハッセルブラッド国際写真賞、2009年高松宮殿下記念世界文化賞(絵画部門)受賞。2010年秋の紫綬褒章受章。2013年フランス芸術文化勲章オフィシエ叙勲、2017年文化功労者。2023年日本芸術院会員に選出される。
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杉本博司 本歌取り––日本文化の伝承と飛翔––
¥3,960
西洋において、真似ることは「堕落」であった。日本において、真似ることは「昇華」であった。和歌の伝統手法である「本歌取り」は、いにしえに詠まれた歌の心の一部を借り受けて、今の世の心のありさまを接木するという「うたよみ」の作法であった。真新しい時代精神は、古き良き時代を否定することなく、昇華して、新しい時代へとその魂を引き継ぐのだ。 私はその作法は、和歌だけではなく、茶や花、香り(香道)やかたち(建築)にまで連綿と受け継がれてきたのだと近頃思う。いわば「本歌取り」は日本文化の通奏低音なのだ。 私は現代美術作家として、その作法を受け継ぎたいと思う。 ——–杉本博司 著者:杉本博司 頁数:304ページ(カラー:252ページ) 仕様:A4変形・ソフトカバー・観音有 デザイン:下田理恵 ISBN:978-4-9912756-0-9 杉本博司はかつて、自身の作家活動の原点ともいえる写真技法を和歌の伝統技法である本歌取りと比較し、「本歌取り論」を展開しました。このなかで杉本は、日本文化の伝統は旧世代の時代精神を本歌取りすること、つまり古い時代の感性や精神を受け継ぎつつ、そこに新たな感性を加えることで育まれてきたものであろうと述べています。さらには、日本だけでなく世界中の文化に本歌を求め、自身の創作においても本歌取りを試みています。 本書では、写真技法のみに留まらない更なる「本歌取り論」の展開を試みます。時間の性質や人間の知覚、意識の起源といった杉本が長年追求してきたテーマを内包しながら、千利休の「見立て」やマルセル・デュシャンの「レディメイド」を参照しつつ独自の解釈を加え、新たな本歌取りの世界を構築します。写真作品《天橋立図屏風》とその発想の源泉となった《三保松原図》、春日大社に関わりのある《金銅春日神鹿御正体》とそれを本歌とした《春日神鹿像》ほか、国宝を含むさまざまな名品と杉本作品、杉本による名品の取り合わせ。作品とそこに添えられたエッセイから、杉本博司という現代美術作家の制作の源泉を紐解きます。 杉本博司 1948年東京生まれ。1974年よりNY在住。活動分野は、写真、彫刻、インスタレーション、演劇、建築、造園、執筆、料理と多岐にわたる。2008年建築設計事務所「新素材研究所」、2009年公益財団法人小田原文化財団を設立。日本の伝統芸能振興に努め、国内を始めパリ・オペラ座、グッゲンハイム美術館(NY)、リンカーンセンター(NY)、エスパニョール劇場(マドリード)など世界各地で公演を手掛ける。1988年毎日芸術賞、2001年ハッセルブラッド国際写真賞、2009年高松宮殿下記念世界文化賞(絵画部門)受賞。2010年秋の紫綬褒章受章。2013年フランス芸術文化勲章オフィシエ叙勲、2017年文化功労者。2023年日本芸術院会員に選出される。
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Sayama Lakeside Cemetery 狭山湖畔霊園
¥3,960
著者:中村拓志(建築)/鈴木理策(写真) 頁数:96ページ(カラー:80ページ) 言語:日本語・英語 仕様:A4判・ハードカバー 写真家・鈴木理策が1年をかけて撮影に通った埼玉・狭山にある狭山湖畔霊園の建築写真集。瞑想時の半眼を想起させられる平屋の管理休憩棟と、人が祈ると同時に建築も祈るような一体感を意図して設計された礼拝堂は、建築家・中村拓志によって設計され、国内外の多くの賞を受賞しています。 80ページに及ぶ建築写真と中村による書き下ろしエッセイ、図面を併載。 鈴木のプリント写真の美しさを再現するため、本文は4色の上にハイグロスニスを引いた5版で印刷されています。表紙には題箋貼りがされ、タイトルは活版で印刷された贅沢な1冊です。 [中村拓志]1974年東京生まれ。鎌倉と金沢で少年時代を過ごす。1999年明治大学大学院理工学研究科建築学専攻博士前期課程修了。同年隈研吾建築都市設計事務所入所。2002年NAP建築設計事務所を設立。2023年度明治大学理工学部特別招聘教授。街づくりから家具まで、扱う領域は幅広い。自然現象や人々のふるまい、心の動きに寄りそう「微視的設計」による、「建築・自然・身体」の有機的関係の構築を信条としている。そしてそれらが地域の歴史や文化、産業、素材等に基づいた「そこにしかない建築」と協奏することを目指している。近年はそのエッセンスを日本の伝統的な建築や庭園文化の中に発見し、それらの再構築にも取り組んでいる。 [鈴木理策]1963年和歌山県新宮市生まれ。1987年東京綜合写真専門学校研究科修了。1998年に地理的移動と時間的推移の可視化を主題にシークエンスで構成した初の写真集『KUMANO』を発表。翌年出版の『PILES OF TIME』により、第25回木村伊兵衛写真賞を受賞。主な個展に「冬と春」(PURPLE、2023、タカ・イシイギャラリー、2022)、「意識の流れ」(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、東京オペラシティアートギャラリー、田辺市立美術館、2015–16)、「熊野 雪桜」(東京都写真美術館、2007)。東京国立近代美術館、東京都写真美術館、サンフランシスコ現代美術館、ヒューストン美術館等に作品が収蔵されている。
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Inagawa Cemetery 猪名川霊園
¥3,960
著者:ディヴィッド チッパーフィールド アーキテクツ(建築)/鈴木理策(写真) 頁数:94ページ(カラー:80ページ) 言語:日本語・英語 仕様:A4判・ハードカバー 写真家・鈴木理策が1年をかけて撮影に通った兵庫・猪名川にある猪名川霊園の建築写真集。礼拝堂と休憩棟を手がけたのは、2023年にプリツカー賞を受賞した建築家デイヴィッド・チッパーフィールドです。彼は霊園の設計にあたり、日本に通い施主と対話を重ねることで、宗教や人種を超えて分かち合うことのできる祈りの場を生み出しました。 80ページに及ぶ建築写真とチッパーフィールドによるエッセイ、図面を併載。 プリント写真の美しさを再現するため、本文は4色の上にハイグロスニスを引いた5版で印刷されています。表紙には題箋貼りがされ、タイトルは活版で印刷された贅沢な1冊。 [デイヴィッド チッパーフィールド アーキテクツ]1985年設立。彼らの公共と民間の両部門にわたる作品の設計プロセス、そしてその揺るぎないクオリティによって国際的な評価を得ている。多様な作品には、著名な文化施設、住宅、教育施設、商業施設、オフィス、都市計画等がある。そのアプローチの根底にあるのは、構築環境における社会的および環境的なサステイナビリティへの関心と、さらには生態系においていかなる役割を果たせるのかということである。主な作品に、ベルリンの新博物館、ソウルのアモーレパシフィック本社、ヴェネツィアの旧行政館の改修等がある。 [鈴木理策]1963年和歌山県新宮市生まれ。1987年東京綜合写真専門学校研究科修了。1998年に地理的移動と時間的推移の可視化を主題にシークエンスで構成した初の写真集『KUMANO』を発表。翌年出版の『PILES OF TIME』により、第25回木村伊兵衛写真賞を受賞。主な個展に「冬と春」(PURPLE、2023、タカ・イシイギャラリー、2022)、「意識の流れ」(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、東京オペラシティアートギャラリー、田辺市立美術館、2015–16)、「熊野 雪桜」(東京都写真美術館、2007)。東京国立近代美術館、東京都写真美術館、サンフランシスコ現代美術館、ヒューストン美術館等に作品が収蔵されている。